里山にひっそり。石薪窯パン&ケーキ麦(MUJI)

ポタリング

印象的な旅をしたり、好きなものを求めてその土地へ訪れたり、その場所への愛着や存在の大きさはいろんなきっかけで変化していきます。自分一人で訪れたからこそ好きになる街もありますが、友人の故郷であったり、移り住んだりした街はまた違った意味での存在の大きさがあります。

今、友人が青梅にアトリエを作っています。元々好きな街ではありましたが、より頻繁に頭の中に浮かぶ土地になりました。友人にその街を好きになってもらいたい、その土地の人間でもないのになんとなくそんな風に思っています。
好きになってもらうには、まず自分がもっと好きになって、もっと知ることから。そんな気持ちもあって、まだ訪れたことのない青梅の地域「岩蔵温泉」エリアに行ってみることにしました。

岩蔵街道

旧青梅街道を通り西へ向かい、箱根ヶ崎駅を越えたあたりで「岩蔵街道」へと入ります。その名の通り、岩蔵温泉へと続く道。迷うことはありません。


起点となる瑞穂町あたりにはシクラメンを栽培する温室が多く、「シクラメン街道」とも呼ばれています。この道に来るといつも布施明の「シクラメンのかほり」が頭の中をリフレイン。真綿色したシクラメンほどすがしい〜ものはない〜〜♪


のどかな風景と音楽でごきげんな頭の中ですが、交通量が多いのがネック。しかもトラックが多い!「トラック街道」とでも呼んでしまいたくなる。そんなわけで、残念ながらあまりごきげんライドとはいきません。歩道も使いながら危険を回避してゆっくり行きましょう。霞丘陵を越える坂が少しあるくらいで基本的にはアップダウンもあまりなく、勾配的には走りやすいだけにトラックの多さがなければな〜と残念な気持ちになってしまいます。


岩蔵温泉の入り口までやってきました。いやぁいいですね、この鄙びたかんじ!たまりません。岩蔵温泉はこぢんまりとした温泉郷で、数件の温泉宿がある程度。自転車で走るとあっという間に温泉街を抜け出てしまうほどなので、車だと温泉郷だとは気が付かないかもしれないですね。


温泉街に沿って流れる黒沢川の支流は紅葉が見頃を迎えていました。静かな温泉街を彩る紅葉は風情があって良いですね。


cafe YUBAというお店の近くに、湯権現が祀られており、説明板が建てられています。このあたりが源泉だったようです。説明によると、ヤマトタケルノミコト東征の際にこの温泉で身を清めたそう。岩蔵という名は、ヤマトタケルが岩をたたみあげた蔵へ鎧一領を納めたことから名がついたという伝説があります。

石薪窯パン&ケーキ麦(MUJI)

今回の目的は温泉ではなく、パン屋さんだったのです。温泉街を抜け、細い道を進んだ先にあるという麦と書いて「むじ」と読むパン屋さんのことは以前から噂を聞いていて気になっていたので、目的地にしました。


まさかここを入るとは思わない道へ。完全にお寺への入り口ですが、看板が奥に見えます。車で来ると見逃しちゃうかも。


ゆるゆるした坂を上りきった道の最奥に建つ、知る人ぞ知る山のパン屋さんです。物語に出てくるような佇まいに期待が膨らみます。


しかし、結構人気店と聞いていたけど、だれもいないぞ?と不思議に思いお店に入ってみると、まだパンが焼き上がっていないとのこと!火曜と土曜に窯に火を入れてパンを焼くそうですが、この日は火曜。焼き上がりは10時過ぎなのだそうです。訪れたのは9時30分ごろだったので、すこし待たせてもらうことに。すぐ横の敷地にヤギが居たので、ヤギ観察をしていたらあっという間。ちなみにこのヤギ、この夏から飼われ始めたそうで、人懐っこく、すぐお客さんの服をひっぱったりしてしまうからとロープで繋がれていました。かわいい。


焼き上がり頃になって再度お店へ入ってみると、ケーキや焼き菓子がならんでいました。そしてパンは今まさに窯から出されているところ!写真を撮っても良いですか?と尋ねると、お店のお母さんが「良かったら窯の方も撮っていいわよ」と快く答えてくださいました。


このパン、かなり大きいのですが、なんと小サイズなのだそう。思わず「え?!」と驚いたら、笑いながら「大はこの倍」との答え。一人暮らしなので、そんなに食べられないので小サイズのパンとりんごのケーキを買って帰りました。

外はパリパリのハード系ですが、中はふんわりとしていて小麦の香りがしっかりと感じられるパンらしいパンでとても美味しかったです。ケーキの方も、りんごの甘さが引き立つ素朴な生地がまた美味しくて、ここ数日のおやつタイムがとても楽しみになるほどのお味でした。他にもケーキの種類がいくつかあったのと、季節によって変わるらしいので、またぜひ行きたいです。

青梅市街へ

帰りはアトリエ工事中の友人宅へよるため、青梅市街へと向かいます。岩蔵街道から外れ、「青梅ゴルフ倶楽部」の北側を沿うように走る厚沢通りという道を使います。この通りがすごく良くて、車通りも全然ないし、ぽつりぽつりと家が建つ程度で、のどかな里山風景を楽しみながらのサイクリングが楽しめます。岩蔵温泉側からは上り基調ですが、ゆるゆるした勾配なので、スポーツ車なら特に難所もなく行けるのも良いポイントです。


また次に岩蔵温泉へ向かうときは、一旦青梅まで向かって、この通りを使って行くほうが快適サイクリングを楽しめそうです。岩蔵温泉にも入りたいし、行ってみたいカフェもあるし、内沼きのこ園というきのこ狩りができるスポットもあるし、春には桜がキレイな名所もあるし、まだまだ見どころが盛り沢山なので、また友人宅へ行くついでに岩蔵温泉へ行くことになりそうです。好きな場所が増えるのは嬉しいですね。