2016.12.9
日本人たるもの一度でいいから富士山には登ってみたい。私もいつかは、と思いつつもついつい自転車を優先してしまいます。だからといって、富士山のヒルクライムなんかはやろうとも思いません。だって坂は嫌いだもの。
それでもやっぱり富士山への憧れはあります。富士山を間近に見ながら比較的平坦だけど、ある程度距離のあるところで自転車旅を満喫したい。そんなワガママを叶えてくれるのが、「富士五湖一周」です。
河口湖をスタートして、西湖、精進湖、本栖湖、山中湖と全ての湖を一周していきます。見所も多く、常に富士山が側に居て、景観も良い。賑やかなところもあれば、寂れてしまっているところもある。もちろん自然は目一杯感じられる、それぞれが好き好きに楽しみを見つけられる場所なのです。
大月駅から富士急行線に乗換。はじめて乗りますが、富士山一色の車両で、ワクワクしてきます。外国人観光客にも人気がありそうです。
降り立ったのは、「富士山駅」。河口湖からスタートするなら「河口湖駅」まで言ったほうが近いですが、早く走り出したかったのでこちらの駅から旅をスタートします。
富士急ハイランドを横目に河口湖へ向かっているとさっそく緩やかな上り。富士山の裾野が織りなす坂は避けられませんが、そこまできつくはありません。河口湖へ近づくと、いい感じで昭和感溢れる歓迎のゲートが現れます。こういう街の雰囲気、たまりませんね。
ゲートを潜り、しばらく進むと、河口湖が目の前に広がります。河口湖に限らず、湖のまわりって、ことごとく素敵な寂れ方をしている気がします。昭和の頃、大勢の観光客で賑わい、別荘地なんかもあったりして、家族連れからカップルまでが湖のほとりで楽しんでいる姿が浮かんでくる反面、徐々に客足が減り、寂し気な空気が漂っている。その当時を知らないのに「あの頃」を思い起こさせる名残がそこかしこにあるんですよね。この雰囲気とても好き。
湖一周の時は左回りが基本。左側走行の日本において、湖を眺めながら周遊するための鉄則です。富士山と湖が視界いっぱいに広がるなか、冷たくも清々しい風に早くも癒やされます。しばらく湖沿いのサイクリングを楽しんだ後、「河口湖美術館」の辺りで一旦河口湖から離れ、「河口浅間神社」を目指します。
河口浅間神社は、「富士山 信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産の一つとして世界文化遺産に登録されています。世界遺産といえば、外国人を筆頭に人がごった返し、落ち着いて見ることが出来ないところばかりですが、こちらは人っ子一人おらず、凛とした空気につつまれていました。
さて、河口湖沿いに戻りサイクリング再開です。河口湖周辺は広々とした道路で走りやすい道。車通りもさほど多くないので、安心して走れます。
河口湖の西の端まで来たら、お隣の西湖へと続く道を進みます。これがまた一番きつい区間だったかもしれません。斜度がかなりあるので、つづら折りの様になっている場所もありました。私のような貧脚はすぐに自転車を降り、押し歩きます。
息切れしながら西湖に近づくと、何やら人影が。いや、これは人ではないぞ?と近づくとカカシでした。これがまぁ至る所にある。釣りをしている姿のものや家族みんなでの記念写真のような一幕などなど。現代風な格好をしていて少しリアルなので、若干怖い。
西湖に到着。風がものすごく強く、寒かったですが、河口湖よりも山間で自然豊か。
西湖の端の北側に「西湖いやしの里根場」という施設があります。ここはかつて茅葺屋根が並ぶ集落だった場所で、昭和41年の台風被害を受けなくなってしまった景色を蘇らせるためにつくられました。
緩やかな斜面上に茅葺屋根が並び、その正面には富士を望む美しい集落。かつての長閑な農村風景が再現されています。20棟の茅葺きは、食事処やお土産屋の他、手作り体験の出来るお店になっています。
おもったよりも人が多かったのが印象的でした。その多くが外国人。駐車場がかなり広いので、観光バスツアーかなにかでしょうか。人が多い割に、あまり活発な印象を受けなかったのですが、お店は開いていても店の方がいないこともあり、不思議。でも、かつての風景を復活させるという意味では成功しているのかもしれないですね?とはいえ、12月の平日ですから完全にオフシーズン。
山開きが行われる頃にはもっと賑わうのかもしれませんね。
「いやしの里根場」近くのお店で「ほうとう」を食べて休憩。冷たい風の中で長時間すごしていたので熱々のほうとうが身に沁みます。ほくほくのかぼちゃがまたほっこりと美味しい。
富士五湖の旅、まだ2つの湖(しかも上半分)しか終わっていませんが、次回に続きます。