ただポタ

ポタリングするように、自転車と暮らす。

上条集落〜ひそやかに残る養蚕の集落〜

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一生のうちに叶えたい夢、全国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)制覇。山梨県の重伝建地区は2箇所あります。その内の一つ、甲州市の上条集落へ行ってきました。

中央本線で山梨方面へ向かうのもすでにお馴染みになりつつあります。穏やかな空気と車窓から見える山並みをみながら癒されつつ、カタコトと揺られながら小1時間。

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塩山駅で下車。今回は相棒を連れてきていないので、駅前にあるレンタサイクル「ぐるりん」を利用してみることにしました。手持ちのICカードを使用するか、パスコードを発行して利用するか好きな方で使えます。1日利用で1,000円です。

空気圧と電池残量をチェックして、1日限りの相棒を選別。

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電動アシスト付きという「機材的ドーピング」によって足取りが軽すぎるくらい軽い。塩山駅から県道201号を北東へ進んでいきますが、思っていたよりも上り。電動アシストが無かったら結構キツかったと思います。

上条集落への誘い

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「福蔵院」というお寺が観光客用の駐車場になっています。上条集落へは、車もしくは自転車を停めて、歩いて入ることになります。山門を抜け、細い道に入っていくと、どこか異世界へ入っていくような感覚。かつてはこの小路が集落に暮らす人々の生活道路として利用されていました。

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誰ともすれ違わず、左右にスモモ畑が広がるのみの細い道を歩いていると、本当に物語の序章のような雰囲気が漂い、ワクワクした気持ちと同時に少し不安な気持ちも薄っすらと芽生えてきます。知らない世界に入ってしまって、戻れなくなるんではないかというような。

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古道をそのまま道なりに進むと、村の鎮守「金井加里神社」の神門が現れます。寺の山門を抜けて続く道が神社へ続く、そしてその先に集落がある。それだけで物語的な場所で、なんだか人ならざるものが闊歩しているような気がしてきます。

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静かな神社を抜ければ、道が開けて見えてくるのが「上条集落」です。
上条集落に残っている民家の殆どが「突き上げ屋根」と呼ばれる形状の屋根をしています。切妻屋根の中央部がせり上がっていて、独特な見た目をしています。

かつて養蚕が盛んだった甲州では、日当たりと風通しを重視し、屋根を改築して大きな窓を設けたため、このような形の民家がたくさんあったそう。今でもポツポツと残っていますが、これだけ密集して残っているのが「上条集落」のすごいところ。

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中でも特に古いのがこちらの中村家住宅。現在は「甲州民家情報館」として、内部の見学が可能な施設となっています。私が訪れた際は管理の方などもいらっしゃらず、勝手に入って良いものかとドキドキしながら見学させてもらいました。誰もいない分、静まり返っているのだけど、生活感があって(公民館の様な使い方もされてるのか、湯呑みやポットなどがおいてある)、神隠しにでもあったような感じ。

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階段を上ると、突き上げ屋根の部分を内側から見学できます。だだっ広い屋根裏のような感じです。ここで蚕を育てていたのでしょう。

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現在では集落の民家の殆どがトタン屋根に変わっていますが、中にはレンガ造りの突き上げ屋根も。個人的に、青い屋根の家に住みたいというちいさな夢がありまして、さらに突き上げ屋根とても好きなので、このお家、めちゃくちゃ理想的です。住みたい家ランキング堂々の1位。

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集落の中には、「見学ルート」の案内が出ています。それに沿って歩かなくても小さな集落なので迷うこともないですが、なんだかこの案内に誘われたくなってきます。

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本当に静かな集落で、しばらく村の中をウロウロと見学していましたが、人にはまったく出会いませんでした。生き物といえば犬くらい。それもなんだか物語の中に入ってしまったような感覚にさせる要因の一つかもしれません。

埼玉の川越や京都の祇園の様に観光地化された重伝建とは全く違い、ひっそりとたまたま残った集落というような雰囲気でした。物好きでないと、そうそう観光には訪れないでしょう。だからこそ、誰にも邪魔されずにじっくりと集落にながれる時間を感じることができます。土産屋や茶屋が連なる場所も楽しいですが、個人的には暮らしの中に存在しているこの「上条集落」がとても好きになりました。